仮想通貨の普及とともに、その魅力的な投資機会を悪用した詐欺も急増しています。巧妙化する手口と増加する被害者数に、金融庁や警察庁も警鐘を鳴らしています。この記事では、仮想通貨詐欺の実態と代表的な手口を解説し、被害を防ぐための対策と、万が一被害に遭った場合の対処法を詳しく紹介します。
近年急増中の仮想通貨詐欺とは?
仮想通貨詐欺は、ビットコインなどで知られる暗号資産(=仮想通貨)を利用し「儲かる話がある」などとして誘引する投資詐欺を指します。国民生活センターの統計によると、仮想通貨に関する相談件数は年々増加傾向にあり、2021年度には6,379件、2022年度には5,586件の相談が寄せられています。近年では、SNSやマッチングアプリを通じた勧誘が多く見られ、手口も巧妙化し、金融庁や警察庁も注意喚起を行っています。
仮想通貨詐欺のよくある手口
仮想通貨詐欺には多様な手口が存在し、年々その手法は巧妙化しています。詐欺師たちは、仮想通貨の複雑さや規制の未整備を悪用し、様々な方法で投資家を騙そうとします。以下で紹介するのは、代表的な6つの手口です。
ポンジ・スキーム
ポンジ・スキームは、新規投資家から集めた資金を利用して既存の投資家に配当を支払う詐欺手法です。高利回りを約束し、初期の投資家には実際に配当が支払われるため、信頼性が高まります。しかし、これは新規投資家の資金を単に再分配しているだけで、実際の利益は生み出していません。やがて新規投資家の獲得が難しくなると、資金が枯渇し、やがて繰り返される詐欺のスキームは崩壊します。
フィッシング詐欺
フィッシング詐欺は、偽のウェブサイトやアプリを作成し、ユーザーの個人情報やログイン情報を盗む手法です。詐欺師は、正規の仮想通貨取引所やウォレットサービスと見間違うような「取引の入り口」を作り、ユーザーを誘導します。なりすましメールを送信し、緊急のアカウント確認などを装って情報入力を促します。最近では、二段階認証を回避するための高度な手法も使われ、セキュリティ意識の高いユーザーも被害に遭うケースが増えています。
偽の仮想通貨取引所
ウェブサイトやアプリを通じた詐欺では、存在しない仮想通貨取引所を模すケースもあります。多くは高い投資リターンや低手数料を謳うため、投資家にとっては魅力的です。しかし、実際には取引が行われておらず、投資家が資金を引き出そうとすると、さまざまな理由をつけて拒否されます。偽取引所は、SNSやオンライン広告を通じて積極的に宣伝され、その見分け方として、登録情報の確認や評判のチェック、不自然な条件の有無などが重要です。
ICO(新規仮想通貨公開)詐欺
ICO詐欺は、架空のプロジェクトや技術を宣伝し、投資家から資金を集める手法です。詐欺師は、専門用語を駆使した偽のホワイトペーパーを作成し、革新的な技術や将来性を強調します。多くの場合、被害者(=新規発行する仮想通貨を買う人)を数多く集めることで短期間で価格が急上昇し、投資家の関心を引きますが、新規発行の根拠となった計画は動きません。最後には、発行を行った技術者あるいは会社と名乗る人物と連絡がとれなくなり、この時点でやっと「お金を持ち逃げされた」と気付くことになります。
ロマンス詐欺
ロマンス詐欺は、SNSやマッチングアプリを利用して被害者に接近し、信頼関係を構築した後に投資を勧める手法です。詐欺師は、長期間をかけて親密な関係を築き、被害者の感情を巧みに操作します。その後、緊急の資金需要や魅力的な投資機会を装って、仮想通貨での送金や投資を要求します。被害者は感情的になり、冷静な判断ができなくなるため、高額の被害につながることがあります。このような要求を受けた場合は、第三者に相談することが重要です。
マルチ商法型の投資勧誘
マルチ商法型の仮想通貨投資勧誘は、高額な参加費と新規会員獲得による報酬システムを特徴とします。参加者は、自身の投資に加えて、新たな投資家を勧誘することで収益を得られると約束されます。多くの場合、仮想通貨を利用した複雑な資金移動が行われ、実態の把握が困難です。このような手法は、しばしば違法なピラミッドスキームに該当し、特定商取引法で規制される可能性大と言えます。
仮想通貨詐欺に遭わない為の対策
仮想通貨詐欺を防ぐためには、適切な知識と対策が不可欠です。詐欺師は常に新たな手口を編み出しているため、投資家側も常に警戒心を持ち、最新の情報を入手する必要があります。ここから紹介するのは、仮想通貨詐欺から身を守るための重要な3つの対策です。
取引口座・ウォレットのセキュリティを強化する
仮想通貨の安全な管理には、取引口座とウォレットのセキュリティ強化が不可欠です。まず、強力なパスワードを設定し、公開鍵や秘密鍵が漏らさない・安易に渡さないように注意する必要があります。取引所であれば、二段階認証を導入することで、不正アクセスのリスクを大幅に減らし、偽物のサイトも認証ステップがないことで見破ることができます。また、定期的なセキュリティ更新や、用途に応じて複数のウォレットを使い分けることも検討しましょう。
不審な投資話には乗らない
仮想通貨詐欺の多くは、高利回りの投資話を餌に被害者を誘い込みます。「必ず儲かる」「リスクがない」といった甘い言葉には要注意です。たとえ知人からの勧誘であっても、その投資話の仕組みを十分に理解し、慎重に判断することが重要です。また、投資を急かされたり、プレッシャーをかけられたりしても、冷静に対応することが大切です。投資を決める前に、十分な時間をかけて調査し、必要に応じて行政や調査会社に相談するのも良いでしょう。
最新の詐欺手口を把握する
仮想通貨詐欺の手口は日々進化しているため、最新の情報を常に入手することが重要です。金融庁や消費者庁などの公的機関が発表する注意喚起を定期的にチェックすることで、新たな詐欺手口を把握できます。また、セキュリティ関連のニュースにも関心を持つなどして、最新の脅威について学ぶことも有効です。最新の情報は、行政だけでなく、詐欺被害の相談に対応する調査会社などでも公開されています。
仮想通貨詐欺に遭った際の対処法
仮想通貨詐欺の被害に遭ってしまった場合、迅速かつ適切な対応が重要です。被害の拡大を防ぎ、可能な限り資金を回収するためには、冷静に行動し、必要な手順を踏むことが不可欠です。以下では、仮想通貨詐欺の被害者が取るべき3つの重要なステップを詳しく説明します。
被害状況を記録する
仮想通貨詐欺の被害に遭った場合、焦らずに詳細な記録を残すことが重要です。詐欺の経緯を時系列で整理し、被害金額を正確に算出しましょう。その上で、詐欺師とのすべての通信記録(メール、チャット、電話履歴など)を保存し、取引履歴を確認して記録することが大切です。また、関連する銀行口座やクレジットカードの利用履歴も確認し、不正な取引がないかも調べル必要があります。これらの記録は、警察への被害届や法的措置を取る際の重要な証拠となります。
証拠を保全する
証拠の保全は、仮想通貨詐欺の解決に向けて極めて重要です。詐欺に関連するウェブサイトやアプリについては、スクリーンショットを撮影し、日付と時間を記録しましょう。メールや通信記録は、複数の場所にバックアップを取り、データの消失を防ぎます。仮想通貨取引所の取引履歴をダウンロードし、同様にしっかりと保管する必要があります。詐欺を働いた者と音声通話をしたことがあるケースでは、その着信・発信履歴や、録音があると良いでしょう。
相談窓口に連絡する
被害状況の記録と証拠の保全が完了したら、適切な相談窓口に連絡することが重要です。初動で考えられるのは、消費者相談をしたり、警察のサイバー犯罪対策課に相談して被害届を提出することです。もっとも、これらの窓口では、被害金を取り戻せるかどうかの確証は得られません。消費者センターは今後の対応方針をアドバイスする場であり、警察も刑事事件として捜査・立件するのが役目で、被害回復については優先事項とされないためです。
問題になるのは、被害の多くが詐欺を働いた者の身元が分からない状況に置かれていることです。仮想通貨詐欺のような高度な犯罪では、IT技術に通じた犯行グループがあり、特定できないよう巧妙に身元を隠しています。犯人の特定が遅れると、被害金が費消されてしまい、請求しても取り戻せなくなるかもしれません。
いち早く犯人を特定し、その上で被害回復を行おうとするなら、専門の調査会社を検討できます。調査会社では、最近の被害事例やITの知識を駆使し、法的対応を行える専門家との連携も取りながら、仮想通貨詐欺などの高度な犯罪に対して迅速かつ的確に対応できます。緊急性が高い場合には、有力な相談先候補となるでしょう。
仮想通貨詐欺にあったときは調査会社に相談を
仮想通貨詐欺は日々進化し、その被害は拡大しています。被害を防ぐには、常に最新の情報を入手し、セキュリティ対策を徹底することが重要です。しかし、もし不幸にも詐欺の被害に遭ってしまった場合、できるだけ被害金を費消されないよう迅速に対応しなければなりません。
仮想通貨詐欺に特化した専門の調査会社では、最新の手口と情報網・調査手段を駆使し、犯人特定と被害回復に焦点を絞った対応を日々行っています。「もしかしたら詐欺かもしれない」「お金を取られてしまった」といった緊急の状況は、調査会社に相談してみましょう。